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『真珠の首飾り』<モーパッサン [あらすじ]

『真珠の首飾り』あらすじ
 安月給取りの家庭に案外美人の娘があるものだが、ロワゼル夫人は金持ちの男から求婚されることもなく、文部省の小役人と結婚した。玉の腰に乗ることもできただろうに彼女は寂しくて仕方がなかった。彼女は豪華で凝った家具に囲まれている自分を空想するのだった。夕飯のとき夫からスープを褒められても、貴族風の食卓を空想することもあった。
 彼女には晴れ着も装身具も、そんなものは何一つなかった。立派なものも身に着けたいという欲望はあったのだが・・・。彼女には一人の友達があった。
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 ある日夫が文部大臣から晩餐会への招待状を持って帰ってきた。ところが彼女は喜ぶどころか憂鬱になるのだった。夫は妻に喜んでもらえると思ってはしゃいでいる感じだったが、彼女は「私に何を着て行けとおっしゃるの」と不満をぶっつける。
 涙を見せる妻に夫はたじろいだ感じだ。妻は「私にはよそ行きというものがないでしょう」と不満の原因を述べる。「こんな招待状誰かにあげて下さい」ともいう。夫は「いくらくらい出せばよそ行きの服は買えるのか」と尋ねる。妻は400百フランもあればというが、それはちょうど、日曜日に友達と雲雀狩りにゆく費用としてへそくっていた金額だ。
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 晴れ着はなんとか買ったが、それでもロワゼル夫人は不満そうだった。身に着けてゆく装身具がないからである。夫は「フォレスチエ夫人(ロワゼル夫人の友人)のところへ行って借りればいいじゃないか」と示唆する。「そうだわ」と言ってマチルド(ロワゼル夫人)はフォレスチエ夫人のところへ駆けつける。そしていろいろ装身具を見せてもらったあとで、ダイヤのすばらしい首飾りを借りることにして、いさんで家に帰る。
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 宴会の当日になった。ロワゼル夫人は大成功だった。彼女は快楽に酔いしれながら、無我夢中になって踊った。自分の美貌の勝利、自分の成功の栄誉にひたりながら、もう何も考えることもできない程だった。
朝の4時になって、別の部屋で同僚と寝ていた夫を起こし帰り支度をした。階下に下りて馬車を探した。おんぼろ馬車に乗って家に帰り着いたとき、フォレスチエ夫人から借りた真珠の首飾りがないことに気づいた。
二人は呆然としたが、夫は「馬車の中かも知れない」と言って探しに外へ出た。ロワゼル夫人は空ろな気持ちで待っていたが、夫は八方手を尽くして探したが見つからなかったということだった。夫はフォレスチエ夫人に「留め金か何かが壊れたので修繕に出しているので、すこし時間的余裕がほしい」と言ったような手紙をかいたら」というようなアドヴァイスをしてくれた。
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 一周間後すべての望みが断ち切られた。ロワセル氏は「代わりのものを見つけねばならぬ」という。それで宝石商のところへ行ったが、「これは箱だけを手前ももののところでしつらえたものです」という。
彼らは宝石商から宝石商へと尋ね歩いた。パレ・ロワイヤルの店で失くしたものと殆ど同じものを見つけた。4万フランというところ3万6千フランにまけてもらうところまで話しをつめた。ロワゼルには父親が残してくれた1万8千フランの金があった。あとはあちことかけずり周って何とか3万6千フランをこしらうえて首飾りを買い、フォレスチエ夫人のところへ持って行った。フォレスチエ夫人は返済が遅いのに不満そうだったが、箱をあけてみようともしなかった。
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 ロワゼル夫人は貧乏が身にしみた。借金を返すために節約し、女中も解雇し屋根裏部屋に居を移した。ロワゼル夫人は食器洗いや、肉の買い物など長屋のおかみさんみたいなことをすべて自分でした。値切ることもした。夫のロワゼルも残業をしたり、二人は夜内職もした。
 10年後には利息も含めてすべて返済することができた。ロワゼル夫人は今ではおばあさんのようになっていた。風貌もすっかり下町のおかみさんのようだった。
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 ある日曜日のこと、息抜きにシャンゼリゼ通りを歩いている時、偶然フォレスチエ夫人に出あった。フォレスチエ夫人は相変わらず若くて生めかしかった。思いきって声をかけてみた。ところがフォレスチエ夫人は変わり果てたロワゼル夫人を見ても「お人違いではないですか」と思いがけないことを言った。それで名乗ると「マチルドだったの」という始末。そこでロワゼル夫人は事の次第を話して聞かせた。フォレスチエ夫人は感動してマチルドの手をとって、「まぁどうしましょう、マチルド!私のは模造品で、せいぜい5百フランほどのものだったの」と言った。




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